中山竹通氏は天才ではなく努力家
本を買いました↓
マラソントレーニング―世界を制した日本の名ランナーが明かすマラソン練習法 (B.B.MOOK―スポーツシリーズ (409))
- 作者: ランニングマガジン・クリール
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2006/05
- メディア: ムック
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80年代に「瀬古(善) vs 中山(悪)」の構図で日本マラソン界を引張った瀬古利彦氏と中山竹通氏の章を読んでみた
80年代といえば私は小学生なのであんまり覚えてないんすけど、それでも中山氏の長身で腰高なランニングフォームはかっちょいいなあ!と感じた記憶がある。今のスポーツで言えば、イチロー選手のスマート感や、ミシェルウィー選手のクールにスラっとしてそれでいてぶっちぎる感 に近い
一方瀬古さんは、この本によると、それこそ今で言うイチローさんや中田英寿さんのようなカリスマチックな存在だった、って書いてあるけど、さすがに当時の瀬古さんはそこまでじゃないべ。スポーツの範疇を超えてすら語られることが増えてきたお二人ですからね
さて。
中山選手の競技観を読んで感激しました。章のタイトルに「感性のマラソン学」とあるけど、その字面から想像できる「天才にしか分からない感覚を基にした理論」とは真逆の、
誰にでも実行出来る、どんな職種の人にも共通と思える、目的実現のための方法論をひたすら独白しているのです
以下に私なりのまとめを。
- 目標タイムから逆算した練習でのタイム設定: 1万mの日本記録は綿密な計算の下に狙って出した。微塵切り(400m)、ぶつ切り(1,000m)に分けてタイム設定して練習し、最後に1本(10,000m)になる
- 計画は絶対に守る: 設定したペースより遅くては、練習の意味は無くなる。いまより強い自分になるには、苦しくても設定どおりやらなくてはならない
- 通用しないものは捨てる: 中山選手の代名詞であるあの腰高でスピード感満点な走法は、勝つために今までの自分の走法を捨てて編み出したんだそうだ。瀬古さんをして「いま回想しても、あれは革命的な走法である」と言わしめる、接地時間の短い腰高な走法。今で言うイチローさんの振り子打法、野茂英雄さんのトーネード投法みたいな驚きです
- 柔軟な発想を養うことで、不慮の事態を乗り切る力を付ける
- 駄目な時は休んで、とっとと復活する
一方瀬古さんの章は、予想通り精神論が多かった。強い人が自信満々なわけじゃないんだなー、ってのはよくわかったので良かったけど。
以前私は瀬古さんのTV解説のつまんなさを批判し、指導者としてどーなの?ということを書いたことがあるけど、今回の記事で理由がよくわかった。
- 中山さんのおっしゃることは、方法論として他の誰もが理解でき、自分の本業で応用できる
- 瀬古さんのおっしゃることは、共感こそ出来るが、方法論では無く、他の人が参考に出来ない場合が多そうに感じられる
中山さんが指導者として、目立った戦歴を挙げてないことの理由は分かりませんが、マスコミの表舞台に出てくる日がいつかあるように思います