monologue == "独り芝居"

友人であるmahdi さんの独り芝居 "アッラーを指差す40本の人差し指" を観てきました.
紹介サイト: http://www3.ezbbs.net/cgi/reply?id=shaheen&dd=02&re=472&qu=1
私は異国に移り住んで生活する時に, 他人と"信条" の違いを尊重し合えるのだろうか. 乗り越えられるんだろうか.恥ずかしながら考えたことも無かった.



彼はNYの大学で学んでいた過去があり現在日本でファッションモデルをしつつ*1英語も教えている.
私はこの春まで2年間ほど, 英語会話等の個人レッスンをして頂いていたし, 以前デメ研さんが出版した書籍*2に原稿を出し合った仲でもあります
また, 私は独り芝居っていう形式の芸を観るのも初めてなので事前にはイメージが沸かなかった

超コンパクトあらまし
彼はパキスタン-日本のハーフとして産まれ, 日本で育った後にカラチの小学校に転校した経緯があり, 自分がどの国の人なのか分からず苦悶したそうです. そして20歳を過ぎ, NYの大学在学時代に9.11が起き, 破壊されたビルの火災煙を吸いながら, 己をidentify することに成功したそうです
# 不確かですが, 別な日に観に行った友人Kento による叙事的かつ叙情的な文書がその内公開されるかも知れません. 私も心待ちにしてます

感想

  1. "The-HIS-World" に引き込まれるのに芝居開始後の1分も要らなかった(表現力が高い)
  2. 彼の様な経験は私には無いけど, 主張に擬似的に共感させられた(主張が妥当である)

1点目ですが, 彼は, 大学で演劇専攻だったのは知ってたんだけど, 卒業後来日以降の間が空いているので, 正直どうなんだろう?と訝ってたんだがねー. 凄いねーさすがNY仕込みって. 重いテーマなのにも関わらず軽妙に笑いを取る. それにパキスタンのシーンでは, 私は訪れたことが無いのに, なんか行ったことがある気がしてくる
2点目が一番重要なのですが, 彼の主張は, "己のIdentity はNatinality に在るのではなく, Heart に在る" ということだったと受け止めました. 特に, 日本では"マクロス"等のロボットアニメに夢中だった幼い彼が突然, 小学校の学級全員がアッラーを信じているような国に移住した, その衝撃と影響は強かったんだなーと知りました. 私も将来"西の国"に行って働きたいと考えているので, 言語や生活習慣の違いへの対応については少しづつイメトレしてるのですが, "信条の違い" による精神的ショックは想定してませんでした. Mahdi に英語レッスンをお願いした当初から, いづれガイコク特にUSに行きたい旨伝えていたので, 彼は一貫して私に
"US で起こっていることをもっと知れ" "中国とインドで起こってることと, それらが世界中に与えている影響を知れ" "日本人なのだから日本を識れ"
と, あまり口にはしないが授業のテーマを通して伝えてくれていた. 今回の芝居で彼の経験を知ったことで, 授業での彼のメッセージの真意は, "異文化の中に身を置いたり, 異国の人と交際したりすることを安易に捉えるな" ってことだったのかな?と思うようになった



異国に骨を埋めるのは, 覚悟が要ることなんだな.
だって, もしSF に居て辛いことが起きた時, "大丈夫だ, 自分は日本国栃木県の産まれで, そこにルーツがあるんだ" なんてことを心の拠り所にすると,
その瞬間から異国で一旗挙げようという目標を掲げた自分に対し負い目が出てくる. そんな状態では事をやり遂げらんねなー
んーむ

何にせよ, 良いものを見せてもらったことには違い無いです. ここまで主張がダイレクトに届くのならば, ART って素晴らしいね, と思えます. 表現手法なんて二の次なんだな

*1:modelling agency のサイトに御写真もありますが私が積極的にリンクを公開することも無いでしょうから控えます

*2:この本です.

ホリエモンへの手紙 (コミュニティブックス (01))

ホリエモンへの手紙 (コミュニティブックス (01))

また, 次のURLに全記事と著者名が載ってます. 私はぺんねーむで載ってます http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20060630/242256/