陸上競技では特に珍しいtop 選手の海外移転

我らが順天堂大学陸上競技部駅伝ブロックの時期エース候補と目されていた佐藤秀和さんが, 中退しケニア留学するそうです
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070206-00000016-spn-spo
予てより下記A の2点の事象から佐藤さんの今後に転換があるのではないかと噂は立っており, 私もB の様な推測をしてましたが, この様な大胆かつ前向きなご決断は予想できませんでした
留学先をケニアにしたことについては, 私は次の理由から良い決断と思う*1


i. (環境) ケニアのナイロビは2,000m の高地である
ii. (時) 秀和さんはナイロビに有期合宿でなく, 常駐である
iii. (人) 周りに有期合宿でなく常駐の, 自分より強い(世界を戦場にしてる)選手がいっぱい居る
iv. (金) 現地のツテがあり, 支援を頂き易い
4点目は推測でしかありませんが, 例えば高校時代のチームメイトのサミュエル・ワンジルさんの母国であり, 何らかの支援を期待できるのかも(そういやワンジルさんはハーフマラソン世界記録を先日塗り替えましたね(記事)).
4つのうちどれか1個の状態だけならもうちょっと容易に実現できるのですがこの4つが同時に揃ってる環境はなかなか無いですね.
そして1から3点目までだとナイロビと, エチオピアアディスアベバの差が付かないが, 4点目によってケニアに決められる.

他の方のご意見などを見てみましょう

日清食品のゲディオンさんのマサイ族はその中に入らないらしい
いづれにせよ, 最近の日本人選手の, "トラックレースでのスピード化傾向にまったくついていけないさ加減" は遺伝的な体格差を感じずにはいられないのですが, 秀和さんが違うデータを持ち帰ってくれるかしら


この方はスポーツ選手の留学が双方の国にもたらす影響について考えておられ, 今回とくにケニア側への利点が不明だ, と指摘されています. なるほどなあー いくら佐藤さんが(自費かどうか不明だが)お金を払って当地に受け容れてもらうとはいえ, 折角人と人が交わるのだからwin & win になる方が良いですよね*2
今回のケースは, 次の流れがある留学です
経済大国(jpn)->途上国(ken), 該当種目の強国(jpn) -> 最強国(ken)
同じ流れを持つ前例が今ぱっと思い付かないので予想しかできませんが, 秀和さんが自身が期待している成果を収める前提で, 双方への利点は,
for jpn: 練習法持ち帰り, 日本選手の当地への留学の窓口拡大
for ken: 日本の企業チーム誘致等, これまでより太いパイプ構築し経済発展
んーイマイチ私の予想力が足りない;;



なにはともあれ.
最多忙マラソンコメンテータ・指導者の金哲彦さんはblog で"体調などを崩さずトレーニングができればそれなりの結果がでるのではないかと思います。"とおってゃってます. "それなりの"ってあたりに金さんの御立場で発言できる限界が見えますね. 私はどかーんと行って欲しい. 報道の内容からして本人の目的はひょっとしたらこの夏の世界選手権代表ってことなのかも知れないけど, 数年後かにどかーんと行く方が良くない?どかーんと日本記録とか.
正直, 順大で強く成長していく彼を見たかったんだけど, いつか誰かがやるだろう(或いはやってるんだけど知られていない)策を彼のようなtop 選手が敢行してくれたおかげで我々は見守ることができる. 健闘をお祈りします

A. 推測に及んだ原因となった事象

  • 昨年後半は順大から離れて母校仙台育英高で練習していたらしい
  • 箱根優勝後のコメントは, 競技人生を賭けて臨んだということのみについて触れ, 今後のことは含んでいなかった. 写真でも笑顔が控え目で, あの特徴的な(並びの悪い)八重歯が映ってるものは無かった

B. 箱根優勝直後 某bbs に下記の様な投稿をしていたのですが, この時推測していたのは, チームとの不和でした.


ところで, 復活の兆しの見えた佐藤選手ですが, しばらく仙台育英高校で練習していた, というのは今年になってから知りました.
何か順大で練習することに問題があったのか, 今後も同様のことがあるのか, やや心配です.
競技で活躍する以前に, 学生さんが心身とも健康であるのが優先ですけど,
1ファンとしては順大の選手として今後も活躍して欲しいので...
(90年代前半の, 5,000m高校記録保持者の巽博和選手が中退した件を思い出してしまいました)
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=SP&action=m&board=1835354&tid=bdgbga5ua5a1a5sa4n3a7a45a4sa1aa&sid=1835354&mid=1782


2月13日追記
寺田氏の日記によれば, 報道は真実で無い部分があるみたいです

http://www.ne.jp/asahi/rikujouweb/terada/nikki/2007/nikki07-1gatsu.htm
仙台育英といえば、OBの佐藤秀和選手が単身、ケニアに留学したという記事が今月に入って出ました。しかし今日、順大関係者に確認すると、留学ではなく合宿なのだそうです。1月末に出発して、3月頭の福岡国際クロスカントリーには帰国するスケジュール。記事には中退を決意した、という表現がありましたが、その後のことを最終的に決めるのは、そのときに順大サイドと話し合いをしてからだそうです。

*1:MECE になってるか心配..

*2:丁度今日読んだ中小路久美代先生の, 日本と米国の"議論"の扱いの違いを思い出した. 米国では研究の"過程"も大事にされるため他研究者と議論することが研究活動の一環として認知されているが, 日本で研究の結果できた"もの"が最優先されるため, 論文発表のためだけの国際会議出張が事務方に良く思われないそうです. http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/research/profiles/009/index.html