聞き上手とダンマリ上手 (対岸の彼女 - 角田光代)

対岸の彼女

対岸の彼女

3月にシンガポ行く時にsoonhwaさんに頼まれて持って行った時には半分くらい読んで、「もう乗り越えた痛みを今更ほじくられる感じ」と感想を述べた気がします。今全部通して読んでみると多少違った感想にはなりますけど、いづれにせよ、時間をかけて読んでみても、「面白くは無い」なあ。。。面白いよりも、痛い。
しかし、文章は巧いなあ!さりげないのに、景色の想像がつき易い。読み易いことったらない
あまり感想を言わないタイプの、バカというんではなく、思慮深く聞いてくれる人。そういう人にも2種類あって、ポイントごとに感想を言ってくれる人と、場合によっちゃその日は最後まで何を感じたか言ってくれない人と。前者はわかりやすく聞き上手さんです。しかし後者はたとえば実は後日すごく腹を立ててたらしいとか判明することもあり、自分の浅はかさを反省すると共に、反対意見なんだったら何故その場で言ってくれないんだろう???聞き容れる準備は万端なのに、言い出しずらかったのかなあ???と。自分の話の仕方を反省しまくると共に、でもその人に対する疑念も徐々に大きくなって行ってしまう。主人公の主婦は後者ですよね。読んでて、黙っていることの品の良さを感じると共に、黙って独りで毒舌してるのはイヤだった
こういうことがあるから、なるべく感想を素直な形で相手に伝えるよう努力せざるを得ないなあと常々思うし、この本読んでから特にそう意識するようになった。秘するが花、というマナーはとても美しいものなんだけど、秘してるせいで咲かない花も多いぜ!って考えるとやりきれないので
丁度今週のaera野茂英雄さんの無口について書いてあったけど、彼のwordslessの対象は自分の野球であって、野球以外の面での想いについては友人関係とかにはふつーに語っていらっしゃると思います